入院患者の医療・介護保険の併用(前編)

今日から3日間のコラムは「極めて」重要な話ですので、じっくりとお読みいただければと思います。
 
厚生労働省は、長期入院患者の入院費用について、医療保険介護保険を併用できるように制度変更する検討に入りました。
様々なメディアを見ていましたが、このニュースを取り上げているところが少ないような感じを受けました。
この制度変更は、実は劇的な変更であるということを、皆さんは認識されていますでしょうか?
筆者はこのニュースを見たときに、「このような手があったのか!」と、官僚の方々の智恵に感心せざるを得ませんでした。
 
まず、今回の制度変更の背景をおさらいしてみます。
病院における長期入院、すなわち社会的入院をなくしていくために、通称「180日ルール」という制度があります。
これは、同一病名での入院は、病院が変わろうと入院日数が通算され、180日を超えると、入院基本料の15%を自己負担しなければならないというルールです。
平成14年の診療報酬改定で導入されましたが、実際に長期入院は解消されていません。
これは、介護が必要な状態の高齢者が増えているためで、医療的には退院することができても、家族が自宅で介護することができず、かといって施設にも空きがなく入ることができないためです。
また、15%の自己負担が発生しても、施設に入所するよりも負担が軽いため、病院で療養することを家族が希望します。
当然ながら、入院費用は医療保険で支払われるため、医療費は増大してしまいます。
そこで、180日を超えた入院は、「介護」であると認識され、介護保険により支払われるように制度を変更するということである。
介護保険が使われるため、医療費は軽減されます。
介護費は増大しますが、医療費に比べると少ないというメリットがあります。
また、患者本人も家族も、「退院」から逃れることができ、同じ病院で「療養」を続けることが可能となります。
患者サイドから見れば、良い制度改革のような気もしてきます。
 
字数の関係で次回へ続く。
 
尾崎総合企画
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