ノロウイルス検査について

ノロウイルス等が原因とされる感染性胃腸炎の発生がマスコミで取り上げられている。
厚生労働省も、この騒ぎに対し「高齢者施設における感染性胃腸炎の発生・まん延防止策の徹底について」を通知した。
されに、尾辻厚生労働相厚生労働省の担当者に、一般向け「感染予防マニュアル」を作ることを指示している。
感染症というのは未然に防ぐことが第一である。
しかし、ノロウイルスの感染かどうかわからない時点では、保健所等は活動のしようがない。
例えば、入院患者の一人に下痢・嘔吐が発生しているとする。
ノロウイルスを疑い、便や吐物を検査に出そうとする。
ノロウイルスの検査方法は、ウイルスのRNAを検出する方法である。
検査費用は約15,000円と高額。
この検査には、現在、保険点数がついていない。
従って、検査にかかる費用は、患者が負担するか、病院が負担するかのどちらかとなる。
患者の検査なので、患者負担にということで、果たして患者が納得してくれるであろうか?
また、患者負担にすると、混合診療の問題も発生してくる。
入院中であるので、すでに保険診療を行っている。
そこに、自己負担のノロウイルス検査を行う、すなわち自由診療を行うことになると、当然ながら混合診療となり、入院診療自体が全額自己負担となりかねない。
これは、外来患者についても同様である。
集団発生後であれば、保健所が介入し、検査等を行うのであろうが、疑いの段階では検査に公的な補助はない。
かつて、インフルエンザが介護施設に大流行し、多くの高齢者が命を失うという問題が起こった。
その後、高齢者に対するインフルエンザワクチンの接種には公費補助が出るようになった。
MRSA、インフルエンザ、O-157結核BSE、そしてノロウイルス
何事も対応が後手後手になってしまうのは、病原菌・ウイルスが多すぎるからなのか、それとも、対応の甘さが問題なのか?
まずは、各施設が標準予防策(スタンダード・プリコーション)を徹底することから始めなければならない。
各病原菌やウイルスに対しての感染予防策が存在するが、まずは標準予防策が確実にできていることが前提である。
問題が起きる前に対策を。
 
尾崎総合企画
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