訪問診療の時間について

平均在院日数の短縮に伴い、在宅医療への誘導は必須となってきている。
医師の訪問診療をベースとして、介護保険による訪問看護訪問介護、訪問リハビリテーションなど、様々な職種が関わることになる。
ところで、常日頃から疑問に思っていることがある。
訪問に要する時間である。
介護保険においては、30分未満の訪問看護では20分以上、訪問リハビリテーションでは30分以上が目安となっている。
ところが、医療における、医師の訪問診療に関しては全く規定がないのである。
訪問看護は30分未満が4,250円、1時間未満が8,300円、訪問リハビリテーションは8,300円、訪問診療は8,300円となっている。
極端な話ではあるが、患者宅へ10分程立ち寄って「お変わりないですね」で8,300円なのである。
確かに、医師と看護師・リハビリセラピストの単価が同じというのはどうかと思う。
しかしながら、医師のみ規定がないというのはおかしいであろう。
医療では、在宅時医学管理料(33,600円)、寝たきり老人在宅総合診療料(25,750円:院外処方せん発行なし)などの施設基準を算定することにより、さらに単価は上がっていく。
施設基準であるならば、厳密な基準がなければおかしいのだが、なぜか在宅分野に関しては非常に甘い基準となっている。
訪問看護や訪問リハビリテーションは、時間の規定のため、1日に訪問できる件数は6〜8件あたりが限界である。
しかし訪問診療では半日で6〜8件を回ってしまうことも可能なのである。
在宅時医学管理料を算定して、月に4回の訪問診療を実施しているとする。
すると、月の算定金額は、33,600円+(8,300円×4回)=66,800円。
1回あたりの金額は、66,800円÷4回=16,700円となる。
(これに、在宅酸素などの点数が加算されていく)
患者側は1割負担のため気付きにくいが、10分で16,700円の支払いを行っているのである。
9割分は、国民全体で負担している保険料や税金である。
これはやはり高すぎる。
往診が6,500円と高いのは、緊急時の患者都合のため理解できる。
だが、訪問診療はある意味、在宅誘導している医療側の都合でもある。
その訪問診療料は往診料より高いのである。
訪問診療にも、その金額に見合うだけの、時間規定、診療内容規定など、明確なルールを定めていく必要があるのではなかろうか?
「先生が来てくださるのでありがたい」で済ませてよい問題なのであろうか?
 
尾崎総合企画
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