データの取り違えについて

■2005/01/24 (月) 先日、健康診断における胸部レントゲン検査の結果をコンピュータ入力する際、同姓の女性の診断結果を取り違えてしまった、という事故がニュースになった。
1年後の検査で癌と判明したそうである。
非常に残念な事故であるが、このような問題はどの医療機関でも起こりうることである。
医療安全の観点から、名前を確認する際にはフルネームで行うようになっている。
しかし、「思い込み」による氏名間違いは、常に起こりうる危険性がある。
患者本人にフルネームを確認する場合でも、違う名前を確認した際に「そうです」という返事が返ってくることも多い。
診療データを扱う場合には、このような間違いを防ぐため、カルテ番号での管理されているものが多い。
カルテ番号は、1人1番号であるため、絶対的なものであるからだ。
ところが、コンピュータへの入力ミス、転帰ミスなどにより、カルテ番号が変わってしまうことがある。
すると、撮影された画像が違う患者のものになってしまう。
胸部写真や血液検査など、定期的に検査されているものならば、医師が見た際にすぐに気がつくであろう。
しかし、初診での撮影、検査データの場合は、そのデータを信用するしかない。
カルテ番号が変わらなくても、カルテ番号の見間違いも問題である。
検査結果を片付ける際に、違う患者のところに入れてしまうと同様なことが起こってくる。
検査結果を紛失することにより、医師の目に触れず、病状が進行してしまうこともあるだろう。
間違いを防ぐには電子カルテによる一元管理が望ましいのであろうが、デジタル化が進むと、人の目によるダブルチェック、トリプルチェックの機会が減ってくる。
「何かおかしいぞ?」という本能的な危機的感覚も感じにくくなる。
結局、システムがアナログであってもデジタルであっても、ミスは人の手によって起こるものなのである。
医師の適切な診断・治療は、そのデータが真実であるという前提のもとに行われる。
あらためて自らのシステムの穴を検証してみる必要がある。
 
尾崎総合企画
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