外来廃止について考える

最近の医療制度改革を見ていて、非常に疑問を感じることがある。
制度改革の大きな目的は、患者の誘導にある。
しかし、実際には医療機関を制度で縛るだけであり、患者側への啓蒙は皆無といっても過言ではない。
「最近は長くは入院できなくなったねぇ」といったように、医療機関側の対応から『なんとなく』患者側に伝わるのが現状である。
例えば、大病院における「3時間待ちの3分診療」という問題がある。
これを解消すべく、「急性期(入院)入院加算」や「地域支援病院入院診療加算」という診療報酬加算や、紹介のない初診患者に対する高額な初診料で外来患者数を減らそうとしているが、患者の大病院志向がなくなるはずはない。
診療所にてプライマリケアを行ってもらうためにも、上記加算で紹介率のアップを図っているが、正直なところ大病院のみ特典のある話で、患者や診療所にメリットはあまりない。
プライマリケアは診療所で、高度な検査や手術は大病院で、という流れを作るためには、患者や診療所にメリットのあるシステム、また、そうしなければデメリットとなるシステムを作らなければならない。
例えば、200床以上の病院での初診は、紹介状なしの初診では保険を使うことはできませんとか、初診料10万円を頂きますといったシステムである。
また、診療所におけるCTやMRIなどの高度な検査の点数を大幅に下げ、逆に紹介料をアップさせるといった方法である。
このような点を患者側に強く啓蒙することにより、「大病院では、紹介状なしでは外来は診てもらえない」という意識が生まれ、大病院は入院と検査外来を中心としたゆとりある医療が行えるようになる。
診療所も外来患者の増加により経営が安定する。
現在の医療では、病院と診療所の違いが明確ではない。
(もちろん、制度は全く違うものであるが)
病院にも有床診療所にも入院ベッドはある。
大病院に風邪で訪れる人がいる。
診療所のことを「病院」という患者も多い。
まずは、患者側に対してしっかりとした啓蒙を行うことが必要不可欠である。
それにより、過剰な医療費の増大も抑えられるし、3時間待ちといった状況も改善される。
大病院の医師や看護師も、入院患者に専念することができ、医療事故も減るであろう。
かたや保険財政は危機的状況をむかえ、かたや医療の質と安全が叫ばれている。
制度改革は抜本的でなければならない。
 
尾崎総合企画
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