電話の功罪

院内PHSが普及している。
携帯電話よりも電波が弱く、医療機器にも影響を与えにくいとのことで、院内PHSを見かけることが多くなった。
携帯電話も、実際は1mも離れれば医療機器への影響は少ないとのことだが、より影響が少ない方がベターであろう。
PHSにより、電話は必ず本人に繋がるようになった。
連絡はスムーズになり、緊急時への対応も迅速となる。
しかし、院内PHSは良い面ばかりなのであろうか?
電話というのは、かけた側が強いシステムである。
何故か、電話に出ない方が悪者となる。
受け手がどのような状況であろうと関係ない。
電話に出ることにより、受け手の業務は完全にストップしてしまう。
座っていようと、立っていようと、電話はかかってくる。
患者と話をしている時に電話に出ることは非常に失礼である。
廊下を歩きながらの電話も見ていて気持ちのよいものではないし、話に集中して、誰かと衝突する危険性もある。
PHSが普及する以前は、ポケットベルが主流であった。
ポケットベルの前は留守番電話。
留守番電話の前は、伝言、メモしかなかった。
伝言、メモを利用する場合には、伝える用件がまとまってくる。
聞く側、見る側としても、時間の短縮が行える。
PHSへの連絡はその都度となるため、時間は細切れにされる。
時間の細切れは、業務を非効率にする。
PHSは非常に便利な道具であるが、やはり使用基準はしっかりと決めるべきであろう。
緊急性の用事以外での使用は避けるべきである。
通常の内容は固定内線にかけ、不在であれば伝言を頼むなり、かけ直せばよい。
院内電子メールも普及しているであろうから、緊急性のない用事はメールを利用するのもよい。
大切なことは、「自分に便利なもの」が「他人にも便利なもの」ではないということ。
自分が忘れるといけないので、メモ代わりにPHSで電話をするなどということは論外である。
便利な道具が、業務を多忙とする道具となってはいけない。
基本は思いやりである。
 
尾崎総合企画
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