高齢者虐待に待った!(後編)

前回からの続きです。
 
「努力義務」という言葉があいまいではあるが、この虐待通報はなかなか決断が難しいものである。
夫婦のみの世帯や、親子のみの世帯で、虐待が起こっている場合、通報により、例えば傷害で逮捕などということになれば、残された高齢者の生活自体が成り立たなくなることがある。
また、通報することにより、「家庭の中に介入するな!」と逆にクレームを受けることがあるかもしれない。
しかし、虐待を受けている高齢者を見つけ出し、何らかの対策を行える土俵に上げることは重要である。
今回の骨子で重要なことは、財産の不当処分も対象となっていることである。
本人が動けない、認知できないことをいいことに、預金を解約したり、不動産を売却したりという問題は数多くある。
傷害の場合は警察が介入できる場、財産等の民事の場合は警察が介入することができない。
このような問題に対して、市町村が介入することができるのは非常に良いことである。
問題は、市町村にどれだけの権限があるかということである。
立入調査により、問題ありと認識された場合、どのように保護措置を行うのか、また、保護措置後にどのように在宅や施設へ復帰させるのか?
これらの問題に対し、まずはきちんと施設整備をしなければ、介入あって解決せずということにもなりかねない。
この防止法案が立法化されるかどうかは未定であるが、この法案を期に、(幼児虐待を含め)世の中の制度全体で変わっていくことを願う。
 
尾崎総合企画
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