どうなる?医療費

2000年度に介護保険制度が開始となり、2001年度、2002年度と減りつづけてきた老人医療費が、2003年度より再び増加に転じたことが、厚生労働省から報告された。
(報告されたのは平成17年2月1日、既に2004年度も終わりつつあるのだが・・・)
集計によると、老人1人当たりの医療費は前年度に比べ2.2%の増加、1人当たりの入院診療費は4.0%、入院外は1.0%増となっている。
この結果、皆さんはどのように考えられるであろうか?
介護保険制度により老人医療費の抑制に成功した!と、厚生労働省は2001年度、2002年度は言い続けてきた。
しかしこれは、これまで医療保険であったものを介護保険に移動したために、抑制できていたというだけの話。
医療保険介護保険を合わせた額は、当然ながら前年度を上回り続けているのである。
そして、医療保険介護保険も、その支払額は増加し続けている。
団塊の世代が65歳以上になる2015年に向けて、高齢者の人数および割合は増加していく。
医療保険介護保険も、支払額が減っていくことはないであろう。
介護保険制度ができ、我々が支払う保険料が増加したことは言うまでもないが、医療保険介護保険も支払額が増えるということは、その支払いに使う税金も増えるということ。
その税金の財源はどこか?
我々の収入からである。
税収が足りなければ増税となり、保険料が足りなければ増額となる。
今後、税金と保険料、双方が増えなければ、支払い額が増加し続ける医療保険介護保険を運用していくことはできない。
厚生労働省は、同じく平成17年2月1日、国民健康保険の医療費が全国水準より極端に高い146市町村を「高医療費市町村」に指定した。
これは、「あまり医療費を使いすぎるな!」という命令にも近い。
しかし、高い医療費の原因には、健全な運営していく必要がある医療機関と、高い医療費を必要とする患者、医療を必要とする高齢者が多い地域など、様々な要因がある。
「高医療費市町村」に指定したところで、医療費が下がることはまずありえない。
国民皆保険制度、医療へのフリーアクセスなど、日本の医療制度は世界に誇れるものであった。
この制度を維持していくために、我々の負担はどこまで上がるのであろうか?
安心な医療、介護を受けるためには、それなりの覚悟が必要なようである。
 
尾崎総合企画
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