医療職の救急車同乗は半強制化?(前編)

先日、平成17年2月14日の発表は、関係者にとっては非常にインパクトのある内容であった。
救急車に乗る救急隊員の数は、現在は運転手を含めて3人。
病院間搬送などで、医師や看護師らが同乗する場合は、これを2名に減らすということが、政府の次官会議で決定されたのである。
これは、救急車出動が増え続けているため、隊員の過重労働に配慮したものだ。
2003年の出動件数は全国で483万件あり、6.5秒に1回の割合という。
救急救命士の多忙さが非常によくわかる数字である。
だが、ここに一つの問題がある。
医師・看護師の同乗に関してである。
現在、病院間移動の場合は、救急隊員より医師、看護師の同乗を求められているが、強制的なものではない。
救急隊員側からすれば、医師、看護師の同乗は、緊急時に指示を受けることができるし、責任問題からも免れやすい。
医師、看護師側からすれば、その間、医療機関本体のスタッフ数が減り、本来の業務に支障が生じることになる。
事前に血管確保や気管挿管を行った後の搬送であれば、救急車の中で医師、看護師ができることは少ない。
搬送先の病院には、あらかじめ医師から連絡が行っているので、到着後改めて病状説明をすることも少ない。
この次官会議決定事項をもとに、常に医師、看護師の同乗を求めてくるようになると、逆に救急救命士が何のために存在するのかという指摘もある。
法律の改正により、救急救命士は、医師の指示のもと、気管挿管や除細動が行えるようになった。
(一定のトレーニングを積む必要であるが。)
このような手技は医師が行うのがベストではあるのだがが、常に医師が同乗するようになれば、救急救命士とはいったい何なのか?ということになってくる。
 
字数の関係で次回へ続く。
 
尾崎総合企画
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