医療職の救急車同乗は半強制化?(後編)

前回からの続きです。
 
医療機関の経営面から言っても、常に同乗を求められるのは問題である。
医師、看護師が救急車に同乗した場合、その行為に対する保険点数というのはない。
往復で何十分から1時間以上を費やすのだが、すべて慈善活動であり、患者のためを思ってこその同乗である。
また、帰路は、救急車で送ってもらうことができない。(原則ではあるが)
救急車は患者搬送のためにあり、タクシーではないからである。
また、帰路にいつ救急出動の連絡が入るかもわからない。
その際に「降りてください」というわけにもいかないのである。
従って、医師、看護師は、公共交通機関を利用して帰路につかなければならないのである。
もっとも、日勤帯であれば公共交通機関もいろいろあるだろうが、夜間などはタクシーを利用するしかない。
この費用ももちろん、医療機関持ちであり、保険点数はついていないのである。
衛生面から考えても、白衣のまま公共交通機関に乗るということは、あまり良いものではない。
話は戻るが、救急車の出動件数のうち、かなり大きな割合を占めているのが、実はタクシー的な利用であることは否めない。
「ちょっと体調が悪いから救急車で病院に行こうか」という考えが、本当に必要な救急出動に支障を来たしていることが多い。
全国の自治体で頭を悩ませている問題である。
まずは、救急車の適正利用を市民に訴えていくことが必要なのではないだろうか?
市民の命を守る救急活動。
市民、救急隊員、医療職が一体となって、応援していきたいものである。
 
尾崎総合企画
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