医療における人事交換(後編)

前回からの続きです。
 
では、派遣ではどうなのだろうか?
現在、看護職の派遣が認められるようになっているが、紹介予定派遣が原則となっている。
つまり、最終的には派遣先に就職をしなければならない。すなわち退職が発生する。
また、人材派遣を行うには、一般労働者派遣事業または特定労働者派遣事業の許可・届出が必要である。
従って、医療以外の他の収益事業を行ってはいけない医療機関から派遣することは不可能である。
では、短期派遣ということで、派遣元の医療機関が給料を払って派遣したとしたらどうであろうか?
研修ということならば問題ないであろうが、勤務となると、看護基準等に問題が出てくる可能性がある。
賃金台帳と出勤簿のつじつまが合わなくなるのである。
その派遣された看護職は、どちらの医療機関の人数にカウントされるのであろうか?
このように、現在の制度ではスタッフのグループ化は難しい。
できるとすれば、共同で人材派遣者を立ち上げるくらいしかない。
ただし、自由に医療機関間を異動させるには、スタッフ全員が派遣者でなければならない。
これでは、人件費が増大してしまうか、スタッフへの支払額が大幅に減ってしまう。
現在、医師を始め、看護職も不足している医療機関が多い。
ギリギリの人数で業務を回していると、1人の退職者が出れば大幅に業務の効率が悪くなる。
欠員補充では、優秀な人材は集めにくい。
質の高い医療を提供し続けていくためには、柔軟な人事が必要ではないだろうか?
制度も柔軟であってほしい。

尾崎総合企画
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