刺しても痛みを感じない注射針

ついにあの針が姿を見せるようになる。
医療機器メーカーのテルモの依頼で岡野工業が開発した「刺しても痛みを感じない注射針」である。
品名:マイクロテーバー針、商品名:ナノパス33、償還価格:17円
毎日のインスリン注射が欠かせない糖尿病患者用の針である。
長さ20mm、針の外径が0.2mm、内径は80μmというものすごく細い針である。
通常、針というのは金属の筒の中を削って作るのだが、ここまで細い針は理論物理の世界でも不可能とされてきた。
それを可能にしたのが、岡野雅行社長のプレス工場、岡野工業である。
(岡野社長については、本が出版されているため改めて紹介するのは控えさせていただく。)
 ※ 俺が、つくる!(中経出版 ISBN:4806117609
 ※ あしたの発想学―いかにして痛くない注射針はできたのか!?(リヨン社 ISBN:457603152X
この難題を、薄い板を丸めるという方法で解決し、この針を完成させたのである。(しかもコストはこれまでと同程度)
なぜ、刺しても痛みを感じないのか?
それは、この針が「蚊」の針とほぼ同じ太さであるからである。
通常、内径が細くなると、注射液が目詰まりしたり、注入圧が高くなり痛みが増したりすることがある。
この問題は、内径、外径とも「テーバー構造」とすることで解決された。
「テーバー構造」というのは、太い径から徐々に細い径に変化している構造のことをいう。
簡単にいうと、円錐型になっているのである。
様々なアイデアが詰まったナノパス33。
実は平成17年1月1日に保険適用開始が開始され、もう発売されているのだが、知らない人が多い。
ホームページで「ナノパス33」を検索しても引っかからない。
これだけの商品であるにも関わらず、テルモではプレスリリースを出していない。
http://www.terumo.co.jp/press/index.html
実は、平成17年5月12日〜14日に神戸で開催される、第48回日本糖尿病学会年次学術集会がお披露目の場ということだそうである。
http://www.congre.co.jp/jds/jds2005_j.html
それまでに供給体制を整え、全国学会の場でプレス発表ということになるのであろう。
この商品は非常に画期的なものである。
多くの医療機関で採用され、糖尿病患者の苦痛が軽減されることを期待している。
 
尾崎総合企画
http://www.medisoft.jpn.ch