広がれ!地域ネットワークシステム

奈良県は、JR福知山線の事故を受けて、局地的な災害や事故などで多数の負傷者が出た場合に、医療機関の受入れ可能数などが把握できるシステムを構築することとなった。
消防本部が、災害の状況や負傷者の人数をパソコンに入力すると、自動的に各医療機関に送付され、各医療機関は受け入れ可能人数を入力することにより返答することになる。
便利なシステムだが、このシステム、実は既に兵庫県には導入されていたという。
今回の事故で尼崎市の消防棘がシステムを通じて約150医療機関に救急搬送を要請したのだが、20%にあたる30医療機関は返答がなかったという。
80%から返答があったことは非常に評価すべきであるが、災害用システムというのは時間とともに危機意識が薄れていくものなのであろうか?
話は変わるが、医療は自己完結型から地域完結型へと変わってきている。
地域医療支援病院を中核として、病病連携、病診連携の体制ができてきている。
病病連携は入院から入院、病診連携は入院から外来が主になると思うが、連携で大変なのは入院から入院であると考える。
急性期病院は、平均在院日数の短縮のため、長期に入院することは難しい。
そこで急性期症状が落ち着いたら転院という形になるのであるが、どこの病院にベッドが空いているのかということは把握できない。
転院依頼をしても、数日待ち、数週間待ちであることも少なくはない。
そこで、地域を通して、空きベッド状況や、退院予定状況などがわかるシステムを構築してはどうだろうか?
毎日、例えば朝、昼、夕の3時間帯くらいに、各病院は自院の状況をシステムに入力する。
ネットワークに参加している医療機関は、ボタンひとつで他の医療機関のベッドの空き状況を確認できるのである。
受入れ可能な患者情報もグループ分けしておけば、急性期から回復期、回復期から療養型などの移行もスムーズになる。
介護施設も参加すれば、よりスムーズな在宅誘導も可能となるだろう。
話はもとに戻るが、常日頃から、このようなシステムを構築することができれば、災害時にあらためて情報を送付する必要はなくなる。
現場の対応は迅速となり、混乱は少なくなるであろう。
医療施設は公共資産である。
まずは、災害を体験された地域の医療機関や行政の皆様、ぜひ、先駆けとなって地域ネットワークシステムを構築していただきたいものである。
 
尾崎総合企画
http://www.medisoft.jpn.ch