食費と居住費の自己負担に伴うあれこれ(前編)

平成17年10月より、介護老人福祉施設(特養)、介護老人保健施設老健)、介護療養型医療施設の介護3施設で食費や居住費の利用者負担が始まる。
室料と高熱水費相当分として、ユニット型個室で6万円、ユニット型準個室で5万円、従来型個室で5万円、多床室で1万円が月々必要となってくる。
食費については月42,000円程度が徴収される予定である。
(48,000円ということだったが、平成17年7月3日に引き下げ方針を決定)
高沸する介護費を抑えるために、この処置は止むを得ないものと思われる。
しかし、これまで介護施設に入所していたのは、自己負担金額が安かったからである。
これだけの自己負担金額が増加すると、施設に入所することが困難な入所者が多発することは容易に考えられる。
すると、すぐに厚生労働省は、緩和案を出すのである。
社会保障審議会の介護給付費分科会は、従来型の個室を利用している人のうち、現在部屋代が無料の人については、特例措置として一定期間は部屋代を徴収せず、光熱水費一万円のみ自己負担とする方針を示したのである。
一定期間というのがどれくらいの期間なのかは不明であるが、何のために制度改正をするのか意味がわからない。
また、新規の入所者についても、感染症や治療上の必要性から個室を利用する場合には、部屋代の負担は求めないとのこと。
後者は病院の差額ベッドと同じ考え方ではあるが、介護3施設の目的は感染症治療ではない。
感染症」患者を隔離するためのベッドは介護施設には必要ないのではないかと思われる。
そもそも、介護3施設の個室化を強く推進しているのは厚生労働省である。
介護老人保健施設介護療養型医療施設まで、介護老人福祉施設と同等のユニット型個室に誘導しようとしている。
厚生労働省の誘導で個室をつくり、その負担を利用者に押し付けるのでは、厚生労働省指導型の介護マンション建設と何ら変わりはない。
何のための環境整備なのか?、何のためのユニット型個室なのか?
本質を考え直す必要があると思われる。
 
字数の関係で次回へ続く。
 
尾崎総合企画
http://www.medisoft.jpn.ch