古き良き?時代

カタカナ文字、略語文字が数多く並ぶのを見ているだけでも、医療は高度化、専門化してきている。
それに伴い、看護技術、DPCなどの医療分析など、コメディカルの業務も複雑化、多様化してきている。
さて、医療技術が上がり、院内感染対策、医療安全管理、褥創対策、栄養管理、薬剤管理など、様々な業務が増え、果たして医療は進歩したのであろうか?
どこの病院を見ても、非常に慌しくなってきているように思われる。
初診時、入院時の問診、チェック内容は増え、記録は膨大になり、電子カルテを導入している医院ではパソコンの前で看護師が入力待ちをしている。
カンファレンスは増え、勉強会や会議も増え、患者への個別指導も多岐に渡ってきている。
複雑な医療機器は増え、医薬品の数も増え、名前を覚えるよりも早く新薬は増えていく。
患者「様」という形だけの接遇対策がなされ、医療ミスに怯え、記録に追われ、モニターやナースコールに頼りベッドサイドへ行く回数も減っている。
どこにいてもPHSで呼び出され、休憩時間や時間外は会議に費やされ、覚えなければならないマニュアルは増えていく。
そしてスタッフは言う。
「忙しい」「時間がない」「記録がかけない」「患者のそばに行けない」「体力が持たない」
新人は叫ぶ。
「怖い」「きちんと指導してもらえない」「覚えるマニュアルが多すぎる」「ついていけない」
医療、特に病院はいつから、このようになってきたのだろうか?
感覚的には昔の方が、ゆっくりとした時間が流れ、患者の傍にいる時間が長かったように思う。
より良い医療、看護を求めた先が、患者の傍にいるという「本来の医療、看護」ができない状態なのだろうか?
院内感染対策など深く考えていなかった時代は、感染症が多発していたのであろうか?
医療安全管理がなされていなかった時代は、今より医療ミスが多かったのであろうか?
栄養管理を実施することで、家庭の食事は変わってきているのであろうか?
薬剤管理を実施することで、薬の処方量は減ってきているのであろうか?
伝言メモしかなかった時代と、PHSを持っている現在で、仕事の効率はどちらがよいのであろうか?
腹腔鏡下手術により、患者のQOLは向上しているのであろうか?
医療技術、医療機器の進歩は確かに素晴らしい。
外国から輸入される様々な医療理論、看護理論も確かに素晴らしい。
ただ、何かがずれているようにも思える。
そう思うのは筆者だけであろうか?
 
尾崎総合企画
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