医療機関におけるICタグの活用(後編)

前回からの続きです。
 
筆者はICタグの有効な活用方法は、「人」の導線管理だと考えている。
患者はもちろん、医療従事者についても。
 
例えば、患者については、
・診察や検査や会計の待ち時間がどれくらいなのか?
・受付から清算までの移動距離はどれくらいなのか?
・患者が現在行っている治療・検査は何なのか?
などの把握に使われることが考えられる。
患者にとって、効率の良い予約システム、検査管理、会計処理などを検討するには、ICタグは非常に有効と思われる。
 
医療従事者については、
・医師は1時間あたりに何名の診察を行っているのか?
・医師の訪室頻度はどれくらいなのか?
・診察に看護職員が何名ついているのか?
・看護職員の訪室頻度はどれくらいなのか?
・「サボり」の頻度はどれくらいなのか?
・院内勉強会や会議への出席率はどれくらいなのか?
・無駄な導線はないのか?
・人員配置は適切なのか?
・欠勤率はどれくらいなのか?
・緊急時に対応できるスタッフは誰なのか?
などなど、数え上げるとキリがないほど利用案が出てくる。
ICタグは、医療従事者の管理に最も適しているのではないかとも思う。
 
今回、民間企業より30億円の出資を受けて実験を行う予定である。(現時点では18億円)
ICタグ1枚の金額は50〜100円と言われている。
医薬品や医療材料など消耗品に貼り付けた場合、当然ながら商品単価が上がってくる。
その費用は、当然ながら患者負担であり、医療保険負担である。
将来、膨大な数量が消費され、利益を出すために、民間企業は投資を行っている。
将来の膨大な費用が、医療保険で負担されるのは、医療費を抑える時代と逆行している。
それを考えると、医療においては、ICタグは在庫管理に一部の医療安全管理に使われるよりは、「人」の管理や導線把握に使われた方が実用的であるように思う。
まだまだ、これから始まる実験ではあるが、有効な活用方法を見つけ出してほしいものである。
 
尾崎総合企画
http://www.medisoft.jpn.ch