軽微な疾病とお薬(後編)

先ほどのリストは、平成17年10月6日に開催された、第10回厚生科学審議会医薬品販売制度改正検討部会の医薬品のリスクの程度の評価と情報提供の内容等に関する専門委員会で、リスク評価された薬剤の一覧である。
結論から言いますと、前記の薬剤は、将来的に医療保険が適用しなくなる可能性が強い薬剤です。
今年の春より、「処方せん医薬品」という新しい薬剤分類ができました。
これは、従来の「要指示医薬品」というもので、医師の処方箋がなければ処方してはならない薬剤のことです。
現在、「処方せん医薬品」に入っていない医薬品が、将来、医療保険の適用から外される可能性が高い薬剤となります。
平成18年4月の診療報酬改定問題で、以下の2点が検討されています。
 
1.風邪などの軽度な診療を医療保険の適用外とする制度導入
2.医療費の一定額を保険対象外とする「保険免責制度」の導入
 
1.については、一般のドラッグストアで買える薬剤については受診するまでもないのではないか、という意見がもとになっています。
医療機関を受診しても、ドラッグストアに行っても、服用する薬剤が同じであれば、受診費用が必要ないのではないのかということです。
この点については、前記の薬剤リストにある薬剤は、すべて同じ考え方がされると思われます。
目薬も、シップも、水虫の薬も、胃薬もすべてドラッグストアで購入することができます。
最近、「医療用成分配合」というCMをよく見かけますが、これも保険外しのための政策の一つでもあります。
 
2.については、次期改定の試案に入っているものです。
一定の金額、例えば1,000円までは自費で払ってくださいという制度です。
この免責金額を考えていただければわかるように、前記の薬剤がドラッグストアで買えてしまう金額です。
すなわち、間接的に1.の制度と同じ形になることを想定した制度が2.なのです。
 
確かに、軽度な疾病では、医療機関を受診したからといって何とかなるものではありません。
結局は、薬剤を処方されるだけなのですから。
医療機関を受診すると、薬剤費の他に、受診料、処方箋発行料、調剤薬局での調剤技術料など、多くの「見えない」お金が発生してきます。
医療保険財政は年々厳しくなってきており、軽度な疾病は、医療保険の削減対象となっているのです。
さて、新しい制度が導入されたとして、あなたは医療機関を受診しますか?
 
尾崎総合企画
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