介護予防サービスからの考察(中編)

前回からの続きです。
 
まず最初に考えられる大きな問題点は、評価の方法と客観性である。
このまま制度が開始すれば、おそらく、サービス開始時の要支援度と終了(評価)時の要支援度(要介護度)が比較されることとなる。
以前、介護予防サービスを導入するために、筋トレ効果の調査が行われた。
以前のコラムで書かせていただいたが、筋トレをしなかった場合との比較、すなわちコントロール群との比較が行われずに、結論を出していた。
今回の評価についても同様であるが、通常のサービス提供と、介護予防サービスとの比較が不可能であるという点が考慮されていない。
例えば、サービス開始時に要支援2であった利用者が、サービス終了(評価)時に要介護1になっていたとする。
この結果だけ見ると、利用者のレベルは低下しているため、「減算」という評価となってしまう。
しかし、通常のサービスであれば、要介護2になっていたとすると、この施設の介護予防サービスは改善効果あり、すなわち「加算」という評価でなければならない。
この点についての比較評価は、誰も行うことができない。
すなわち、評価に客観性がないのである。
次に考えられる大きな問題点は、要介護状態になれば重度化防止を行わなくてよいのか?ということである。
介護要望サービスは、あくまで要支援者に対するサービスである。
要支援ということは、基本的には自立できているということ。
この状態の利用者に対する、高い改善効果というものはいったい何なのであろうか?
改善効果が期待できるのは、廃用症候群に陥っている利用者に対して自立支援をする場合である。
すなわち、要介護サービスでなく、通常の介護サービスにおいてこそ、サービスの質の評価を行わなければならない。
現時点では、通常の介護サービスである、通所介護、通所リハビリテーション訪問介護には、成功報酬の仕組みが導入される予定はない。
したがって、要介護者に対しては、サービスの質の評価を行わないということである。
 
字数の関係で次回へ続く。
 
尾崎総合企画
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