介護予防サービスからの考察(後編)

前回からの続きです。
 
これでは、後者の「いかに、要介護状態を悪化させないか」というテーマに反するのではないか。
現在の介護サービスは、要介護度の悪化を防ぐことができていないとの調査結果も出ている。
実際に、不足する部分だけをお手伝いするという介護の基本を忘れて、能動的な身の回りの世話に終始している施設が多いのではなかろうか?
成功報酬の仕組みは、通常の介護サービスにこそ導入されなければ意味がないと思う。
そして、最後に考えられる大きな問題点は、要支援状態、要介護状態の重度化予防は、本当に介護費の削減につながるのかどうかということである。
要介護状態への移行を遅らせても、要介護状態の悪化を予防しても、数ヶ月〜数年の時間を生み出すだけである。
すなわち、アコーディオンのような状態で、要介護状態が進んでいくのみであり、結局は高齢化の波に飲まれてしまう。
アコーディオン効果は1時点のみ。
アコーディオンが縮むように、すぐに元通りの状態となってしまう。
これでは、ただ問題を先送りにしたに過ぎない。
2025年のピークに向けて、段階の世代が高齢者となっていく。
要支援の状態を長く続けてもらうという、QOLの観点から見れば、成功報酬の仕組みの導入は良いと思う。
施設の介護サービスの質の監視という点でも、成功報酬の仕組みの導入は良いと思う。
ただ、導入の根本的問題である介護費の増大を防ぐという点、要介護状態の重度化を防ぐという点から見れば、何も解決していないのではなかろうか。
過去の医療費を見てもそうだが、「自然増」という言葉に甘えすぎているように思う。
「自然増」だから費用が増えるのは仕方ない、保険料が上がるのは仕方ない、税金が上がるのは仕方ないというのはいかがなものだろうか?
少し話が発展しすぎたが、介護予防サービスについては、様々な考察を行っていかなければならないと思う。
 
尾崎総合企画
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