電子化の恐怖(後編)

前回からの続きです。
 
もう一つ。
医療報酬は2年毎、介護報酬は3年毎に改定される。
従って、医療報酬を扱うレセコンや、診療内容を扱う電子カルテ、介護報酬を扱う介護ソフトなどのシステムが、その都度、後進されていくことになる。
大きな改定があった場合、データを扱うフォーマット自体が変わってしまい、古いデータが、新しいシステムで活用できないという事態が発生する。
振り返ってみよう。
医事でも、給食でも、経理でも、5年前、10年前の保存データを、今、扱うことができるであろうか?
多くの場合は、システムが1〜複数回変化しており、読み込むことができない場合は、読み込んでも情報が違ってしまっているケースが多くあるのではなかろうか?
このようなことが、今後、どんどん起こってくる。
初期の電子カルテを導入した医療機関などは、ある時期で、大規模なシステム入れ替えを行う時期がやってくる。
その際、膨大なデータを新システムに移し変えるだけでも、膨大な業務、膨大な費用が発生することになる。
すべてのデータを移管することは、実質的に難しく、多くのデータは古いメディアの中で眠ってしまう可能性も少なくない。
このように、電子化というのは諸刃の剣でもある。
確かに、紙ベースでも情報が眠ってしまうということについては同様である。
眠ってしまう情報ならば、それは本当に必要な情報なのであろうか?
電子化された後も、保管していく必要がある情報なのだろうか?
このあたりをよく考えて、システム構築をしていかなければならない。
ただ、加速し続けるIT業界で、5年後、10年後のハードやソフト、メディアについては、想像することさえ難しい。
現在の最新システムは、10年後の化石システムでもあるということを強く感じていただきたい。
 
尾崎総合企画
http://www.medisoft.jpn.ch