直行直帰型のヘルパーはなくなるかも

平成18年4月の改定では、医療報酬だけでなく、介護報酬も大幅減になりそうである。
各事業所は経費削減を検討する必要が出てくるが、経費で最も大きいものは人件費である。
経費削減=人件費削減という短絡的な考え方は、サービスの質を低下させるので、注意が必要である。
話は変わるが、介護保険制度改定の話し合いの中で、直行直帰型の訪問ヘルパーが問題となっている。
訪問介護事業には「登録型」のスタッフが多い。
「登録型」のスタッフは、月給制でなく、時給制であり、かつ「介護時間帯」のみの時給制であることが多い。
従って、自宅から利用者宅へ直行し、介護が終われば自宅へ直帰するというスタイルが多い。
訪問ヘルパーに対する様々な苦情や、サービスの質の低下を懸念して、すべての訪問ヘルパーの「管理」が問題となっているのである。
具体的には、朝と夕は、ヘルパーは訪問介護事業所へ出勤し、訪問前のミーティングや、訪問後の報告、介護の質の向上のための教育等を行う必要があるのではないか、ということである。
これは、決定事項ではないが、決定すれば、事前ミーティングの時間から、移動時間、報告等に関る時間などを、すべて「労働」として考えなければならない。
訪問ヘルパーにとっては、拘束時間が長くなるが、給与面では待遇が上がることになる。
しかし、きっちりとした報告制度、質の向上が義務付けられてくる。
施設にとっては、管理面で労務が増える他に、人件費も膨れるが、一定の質の管理ができるようになり、問題点にも迅速に対処できる。
さて、平成18年の4月で介護報酬が下がる方向にある中、訪問ヘルパーの直行直帰が禁止されることになれば、訪問介護事業所の経営はかなり厳しいものになってくる。
訪問ヘルパーの質を高めて、一定に保つことは必要なことである。
しかし、現在の介護報酬でも訪問介護事業の運営は難しいのに、なおかつ、訪問ヘルパーの拘束時間のすべてに時給を支払うことになれば、事業そのものが成り立たなくなる可能性もある。
現在は、介護時間帯のみの、「見かけ上」高い時給のために、訪問ヘルパーで働きたい人を確保できている。
拘束時間や、ミーティング等のすべての時間に、時給を支払うことになれば、一般的なありきたりの金額の時給とならざるを得ない。
その時、訪問ヘルパーという仕事を選択してくれるのか?
今後の制度改定に注目である。
 
尾崎総合企画
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