診断基準と医療費(後編)

前回からの続きです。

確かに、今の医療費の増大はとどまることがありません。
将来的に、脳血管障害や心筋梗塞などの「本当の病気」が増えることにより、医療費がさらに増大することは懸念されます。
しかし、脳血管障害や心筋梗塞などは、「加齢」が大きなウェイトを占めており、団塊の世代が高齢化していく上で逃れることはできません。
さらに、平均余命が伸び続けている、すなわちさらに高齢化していけば、当然ながらこれらの疾患にかかるのは必須です。
予防は大切ですが、いつかはかかる疾患なのです。

診断基準を下げるという、今のやり方は、将来の医療費を削減することが目的なのか、製薬メーカーと医療機関に流れる、今の医療費を増大させているのかが、分からなくなってきます。

メタボリックシンドローム」という言葉を頻回に聞くようになったのは、「国の政策」にあります。
高脂血症、高血圧、糖尿病は、贅沢病ですので、私達の生活を見直すことで予防することは十分に可能です。
未来の医療費を削減することは確かに必要です。
しかし、今の医療費を使うことも、未来の医療費の負担を増大させていることも事実です。

私たちの未来の医療はどうなるのか?
国も、医療機関も、国民1人1人も、真剣に考えなければならない時代です。

医療財源はほとんど枯渇しかけています。
後期高齢者保険制度のスタート、自己負担割合の増加、社会保険料の増加、消費税の増加。
こんなものでは追いつかないことを理解してください。
医療保険を分離した介護保険制度が、別枠で大きな保険料と税金をつぎ込みながら、破綻寸前なんです。
焼け石に水にならないためには、石を熱さない方法を考えなければならないのです。

皆さん、本当に真剣に考えなければならない時代ですよ。
 
尾崎総合企画
http://www.medisoft.jpn.ch