診断基準と医療費(中編)

前回からの続きです。

似たような項目として、2004年に高血圧ガイドラインが改定されたのはご存知でしょうか?
このガイドラインにより、収縮期血圧(上の血圧)が140以上だと、高血圧と診断されるようになりました。
骨子としては、60歳以下では最高血圧140以上/最低血圧90以上の人は降圧薬を飲む必要があるとなっています。
それまでは、高齢者では血圧は下げすぎてはいけないということになっており、150前後でコントロールされていました。
それが、ガイドラインの改定により、高齢者はもちろん、一般の方まで、高血圧と診断される基準が下がったのです。

その結果、どのようなことが生じるのかというと、高血圧症と診断される人が圧倒的に増えることになるのです。
高血圧症と診断されるとどうなるのか?
当然ながら、薬物治療となります。
ガイドラインには、どのお薬を最初に使いなさいということが書かれています。
日本では、ARBという新しい分野の血圧のお薬がガイドラインに記載されています。
世界では、それほど注目されていない薬剤であるにも関わらず、日本では圧倒的に使用されることとなったのです。
当然ながら、ARBという薬剤を持つ製薬会社の売上げは圧倒的に上がります。

お分かりでしょうか?
生活習慣病といわれる、高脂血症、高血圧、糖尿病という「病気」は、診断基準に大きく影響されるのです。
メタボリックシンドロームの診断基準を厳しくすることで、同時に、高脂血症、高血圧、糖尿病の「病気」を持つ方が多く生まれます。
その結果、多くの方が「生活習慣病」になってしまうのです。
 
字数の関係で次回へ続く。
 
尾崎総合企画
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