進む院内禁煙(後編)

前回からの続きです。

タバコが吸えないとなると、どうしても吸いたくなるのが人間の心情。
堂々と吸えないなら、隠れて吸おう!ということになる。
このあたりは、中学・高校生の喫煙方法とまるで大差がない。
トイレで吸ったり、布団にもぐって吸ったり、ということになる。
これは非常に危険なことである。
本来、医療機関というところは火災予防のため火気厳禁である。
周囲を見渡しても、火気がある場所は厨房しかないことが分かるであろう。
ポケット灰皿の習慣が根付かない日本では、隠れてタバコを吸うということは、吸殻も見えにくいところに捨てるということ。
これでは至る所が火災の危険区域となる。
やはり、喫煙場所というスケープゴードは必要なのである。
施設内禁煙が義務付けられるとしても、玄関先や屋上などに喫煙所を作ることで、隠れタバコはなくなるのである。
本来、健康に悪いものであるならば、タバコは国をあげて禁止しなければならない物質である。
しかしながら、タバコは年間約2兆円の税収をもたらすほか、葉タバコ栽培やタバコの製造、広告費用など、全体で年間2兆8,000億円の経済効果を生み出すことが試算されている。
台所が火だるまの国にとって、この財源がなくなることは痛い。
だが、医療費の増加や早期死亡による所得の損失など、タバコによる社会コストが年間5兆6,000億円にのぼり、国レベルで収支を考えると年間約3兆円の赤字になるとのこと。
厚生労働省は、国民の健康のため=医療費削減のため、禁煙を進めなければならないのである。
話が大きくなりすぎたが、業務効率から言っても、医療スタッフは休憩時間以外は禁煙すべきである。
業務から外れてタバコを吸いに行くだけで、約10分の時間を浪費する。
1日に5本も吸えば、合計1時間はサボっていることになる。
この時間は患者のための時間。
タバコを1日に何本も吸っているスタッフで、残業なんかつけている人はいませんか?
院内禁煙を機会に、タバコから卒業してみてはいかが?

尾崎総合企画
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