介護保険制度の見直しについて(4/4編)

前回からの続きです。

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最後に、財源が足りない介護保険における、被保険者・受給者の範囲が問題となってくる。
現在の介護保険制度では、40歳以上の者から保険料を徴収し、65歳以上の高齢者が利用するという制度である。
すでに、保険料は20歳以上からの徴収が決定した。
また、それに伴い、障害者福祉等と介護保険の一元化も決定された。
これは、すなわち「世代間扶養」から「同世代間支援」への以降を意味する。
自分達の年代を自分達の保険料で賄おうということである。
現在の40歳から65歳までの人たちは、これまで支払った保険料が無駄になることを意味し、20歳〜40歳の人たちは、高齢者になったときにもかなりの保険料を支払い続けなければならないことを意味する。
そもそも保険や年金とは、「世代間扶養」が基本であり、人口ピラミッドが「富士山型」なければ成り立たないシステムである。
支払額以上のサービスを利用するのであるから、この形でなければ成り立たない。
現在の人口ピラミッドは「ひょうたん型」である。
この形で「同世代間支援」を行うということは、将来の財源がなくなることは言うまでもない。
今回の一元化に伴う保険料徴収年齢の引き下げは、ある意味、捨て身の切り札なのである。
財源が不足するとなると、次に起こってくるのは、保険料の増額とサービス利用年齢の引き上げである。
後者は障害者福祉の関係で使えないとなると、前者しか方法はない。
未来への負担は大きい。

以上、簡単ではあるが、「介護保険制度の見直しについて」について解説を行ってみた。
需要もある、供給もある。しかし、財源が足りないといったことが現状であろうか。
各国の保険制度も一覧で示されているが、各国と比べると、やはり日本人の負担は少ない。
やはり、所得倍増時代にできた、老人医療費無料制度の後遺症は大きい。
この部分にどこまでメスを入れることができるのか?
平均寿命はどこまで伸びるのか?(あくまで0歳時平均余命ではあるが・・・)
医療・介護双方で検討を行わなければ、社会保障費は膨れ続けるばかりである。
制度に振り回される、医療・介護界の苦悩は続く。

尾崎総合企画
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