急性期分離のその後は?(前編)

現在、医療においては、急性期病床、回復期リハビリテーション病床、療養型病床の分化が進んでいる。
特に急性期病床と回復期リハビリテーション病床には、高い保険点数をつけ、政策誘導が行われている。
急性期病床の平均在院日数は徐々に短縮化されている。現在の急性期入院加算の施設基準では平均在院日数17日以内。
これが時期改定では14日以内とも10日以内とも言われている。
すると、一般病床の数は現在の90万床から60万床以下にまで削減できるというのだ。
医師、看護師の数は十分にいる日本で病床数が減れば、1床あたりの医師、看護師数は増え、充実した医療・看護を行うことができるということだ。
ということで、強烈な政策誘導で急性期病床に点数をつけた結果、行き場を失っているのが亜急性期から慢性期(療養型を含む)の病床である。
療養型病床は介護保険の財政の問題から、医療型と介護型という訳の分からない分離がなされたが、次回の改定では療養型は介護に!という審議が行われている。
財源上、難しいかもしれないが、結局は医療の病床は急性期病床のみでよい!というのが厚生労働省の考えである。
急性期病床に特化した病院の一人勝ち状態である。
しかし、ここで考えてほしい。
急性期病床が急性期であるためには、患者は早期退院をしなければならない。
急性期から在宅へ退院できる患者は少数であり、多くの患者は亜急性期から慢性期の病床へと転院をしなければならない。
この中間層の病床がなくなれば、急性期もまた成り立たないのである。
回復期リハビリテーション病床と介護施設で良いではないか、という意見もある。
しかし、この両者では「医療」をほとんど行うことができない。
亜急性期から慢性期の患者には「医療」が必要なのである。

字数の関係で次回へ続く

尾崎総合企画
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