急性期分離のその後は?(後編)

世界の平均在院日数は10日前後でやっているではないか?
ナーシングホームは、日本の老人ホームと同じ役割ではないか?
しかし、日本と世界は医療の根本が違うのである。
日本では、医師以外に「医療行為」をほとんど認めていない。
看護師の業務を見てみても、先日「静脈注射」が看護行為に入ったのみで、多くの医療行為が禁止されているのである。
アメリカの看護師に与えられた医療行為は多い。
日本のように医師の下の看護師ではない。
医師と対等の看護師なのである。
看護師に多くの権限を委譲することができなければ、世界のマネをしても役には立たない。
また、アメリカでは、救急患者に対応できず、他の病院救急部(ED)をたらい回しにされることが多いという。
原因は、救急ベッド数と入院患者ベッドが少ないこと。キャパが小さいのである。
日本では、医師の専門性が高まっているが、逆に言えばEDで活躍できる医師は少ないということ。
このまま、急性期特化を図り、医師数を充実させても、十分な救急対応ができないのではないかという懸念もある。
平成15年9月末の病床区分の届出以降、現在のところ、一般病床と療養病床の数はあまり変化していない。
平成18年4月の診療報酬改定では、一般病床を一気に削減するための制度が盛り込まれることは間違いない。
しかし、一般病床を削減したとして、その後はどうなるのであろうか?
あふれた患者はどこへ行くのであろうか?
急性期病床の患者は回転するのであろうか?
世界と違う方向に進んでしまった日本の医療制度の軌道修正は難しい。

尾崎総合企画
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