処方のみ外来について考える(後編)

前回からの続きです。

このような診療の歴史により生まれたのが、「薬だけ欲しい」という患者の既得権である。
「薬だけをもらう」ことが当たり前となり、診察を勧めると「なぜ診察を受けないといけないのだ!!」と怒り出す患者もいる。
受けないといけないのだが・・・。
院外処方が広まってからは、直接調剤薬局に行き、「いつもの薬が欲しい」という強者まで現れている。
もちろん、医療機関へ行ってもらうわけだが、医療機関で処方箋だけをもらい、また調剤薬局に戻るという行動に、患者は納得できるはずがない。
処方箋をもらうだけで、医療機関への支払いも発生する。
例えば診療所では、再診料2,740円と処方箋料690円と合わせて3,430円。
3割負担で1,030円の自己負担が発生するのである。
「この紙をもらうだけで1,000円かい!」というのが患者の本音であろう。
この問題は、医療制度を国民にほどんど公表していない国の責任が大きい。
患者は診察を受ける義務があり、診察を受けずに医療行為を受けることは違法であるということを、しっかりと公表しなければならない。
慢性疾患の患者のために、平成14年4月の療養担当規則の改定で、処方日数の制限がなくなった(一部の薬剤を除く)。
大病院に通院する多くの患者は30日、60日、90日の処方を抱えて帰っている。
だが、調剤薬局では、1枚の処方箋で必要な日数分のみの薬を分割してもらうこともできるのである。
そのような制度を患者が知ることはほとんどない。
患者に制度を知らせることなくして、医療改革などあり得ない。
処方のみ外来という小さな問題は、医療制度という大きな問題の一端にすぎない。

尾崎総合企画
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