現物給付と現金給付(前編)

混合診療を語る上で、給付方式の理解は欠かせない。
まずは医療と介護の違いが分かるであろうか?
一般的に、医療は3割の自己負担、介護は1割の自己負担。
割合は違うけれども、同じ給付方法をとっているように見える。
しかし、医療は「現物給付」、介護は「現金給付」なのである。
「現物給付」「現金給付」とは何なのか?
例えば100円の価値のリンゴをもらえるとする。
このとき、リンゴそのものをもらえるのが「現物給付」、一旦100円を支払ってリンゴを買い、その後100円を返してくれるのが「現金給付」ということになる。
結果的には、双方ともリンゴをもらうことができ、結果だけみると同じ行為のように見える。
では、1割負担にてサービスを「現物給付」「現金給付」でもらうとする。
「現物給付」では、9割分のサービスをもらって、1割分のサービスを買うことになる。これが医療である。
「現金給付」では、10割分のサービスを買って、9割分の現金をもらうことになる。これが介護なのである。
えっ? 介護で10割分の現金を支払うことなんてないじゃないか!!と言われる方。
その通り。1割分の現金しか支払っていませんね。
本来なら、残り9割分の現金を支払わなければならないのであるが、保険者(市町村)が9割分を立替えているのである。
9割分を立替えて、見えないところで保険者から利用者に対して「現金給付」を行い、かつ、利用者から保険者が立替え分を回収しているために、見た目上「現物給付」と同じように見えるのである。
「現物給付」と「現金給付」の違いがご理解いただけたであろうか?

字数の関係で次回へ続く。

尾崎総合企画
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