どこを見ても、カタカナばかり(後編)

前回からの続きです。

医療職が、患者や家族に様々な説明を行う際、知らず知らずのうちにカタカナを使っていることが多い。
はい、はいと肯いてはいるが、何のことやらサッパリ分からない。
医師が病状説明を行う際などは、なお難しい。
横文字に、専門用語が入ってくると宇宙語どころか暗号の領域にさえ入る。
よく、「あれだけ説明したのに全く聞いていない!」と怒っている医師を見るが、優しく優しく説明しているつもりでも、受ける側では半分も伝われば御の字であろう。
電子カルテの導入などで、ベンダー(販売者)の話を聞いていると、IT用語、経済用語が乱発する。
本人達は、世の中の最先端について話をしているつもりであろうが、聞いている側では「ほぅ」とか「なるほど」とか言いながら、用語の意味は全く理解できない。
すなわち、内容も半分以下しか理解ができない。
このような状況で開発、導入に着手すると、金銭的でも、操作性でも後々トラブルが生じてくる。
専門用語を、小学生でも分かる日本語に翻訳できない人は、その専門用語を完全に理解していないといってよい。
このことは、医療職を含め、すべての職種で同様である。
それにしても、なぜ、ここまで一般人には理解不能なカタカナ単語が横行しているのであろうか?
それはすなわち、カタカナ・略文字表記のすべての技術、制度が「輸入」されたものであるからだ。
どこそこの国で流行しているものがある、よし日本にも取り入れよう!訳せないからカタカナで!
というように、どんどんと「輸入」されているのである。
輸入元の多くはアメリカ合衆国
国産の技術や制度が世界に出て行かないのは寂しい限りである。
トヨタ自動車の「カンバン」「カイゼン」などは有名であるが、なぜカタカナに?)
医療界では、様々な規制が導入されつづけているが、輸入された方法が本当に最良なのであろうか?
今まで自分たちが作り上げてきた方法ではいけないのであろうか?
システムにばかりとらわれず、「患者のため」という基本に基づいて活動を行えば、本質的に間違うことはない。
基本を見ずして、カタカナに捕らわれすぎないように!
それにしても、カタカナを使わずに文章を書くのは難しい・・・。

尾崎総合企画
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