普段の生活を大切に(後編)

前回からの続きです。

ところで、高齢者の昔話を聞いていると、話をした時代から時系列で話がどんどん進んでいくことがある。
記憶とは時系列に整理されているものなのであろうか?
完全に痴呆の状態であっても、昔話は筋道がしっかりとしており、時代背景、登場人物ともに間違いがないことが多い。
やはり、体で覚えた記憶というのは消えにくいものなのであろうか?
寝たきり老人という言葉が使われ始めて長いが、ベッドから天井を見ているだけでは刺激が少なすぎる。
散歩、話しかけ、四季とのふれ合い、思い出深い持ち物の感触。
こういった刺激は与え続けなければならない。
療養型病床、介護老人福祉施設等のスタッフは介護のプロである。
食事、排泄、徘徊に振り回されるのが主業ではない。
痴呆の抑制、痴呆からの回復のため、多くの刺激体験に力を入れてほしい。
そして、家族には施設に入所させるまでに、上記のことをもう少し考えてほしいと願う。
思い出とはいつまでも大切なものである。

尾崎総合企画
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