混合診療について考えよう!(前編)

現在、混合診療について大議論が展開されている。
様々な団体が様々な意見を述べている。
どの意見もごもっともであり、また、論理的でない面もある。
その中で、平成16年11月17日に開催された中医協で出された2つの考え方についてポイントを紹介する。

1. 混合診療についての見解:医療現場と学会の実態を踏まえて
  内保連代表 齊藤 寿一 氏

保険外診療にはいわゆる「民間療法」も含まれる。
健康寿命と対GDP比医療費による、費用対効果を見た場合、日本の国民皆保険制度は優れた制度である。
・医療を患者に給付するか否かの裁量は100%、担当医師にゆだねられている。
・行使不能不能である安全性未確認の新しい医療の適否に対する裁量権について、医師は辞退せざるを得ない。
・原稿の保険制度では、原則としてインフォームドコンセントのもとに医療が実施されており、100%患者の自由な選択に委ねられている。
・(医師と患者の)情報の受け渡しは、双方の能力で決定されるため、(患者が)自己責任で「自由な選択」を求めること自体、非現実的である。
・重大な医療事故は「一定水準以上の医療機関」で多く発生しているため、抽象的な範囲で医療の安全性を担保する(一定水準以上の医療機関混合診療を認める)ことは不可能である。
・いわゆる民間療法が「無効である」ことを科学的に証明することは原則的に困難であるため、逆に有効であると誇張した民間療法が混合されることは危険である。
・専門医だからといって、新しい医療や民間療法の有効性や安全性を確実に裁量する能力を身につけていることは保証できない。
・保険に収載されていない衣料については、現実には殆どが患者に負担を求めることなく、医療機関の持ち出しによる負担で実施されている。
混合診療を導入すると、給付率が低かったり高齢加入者の選別などを含む民間医療保険に加入せざるを得なくなる。
・「患者の自由な選択」の拡大は、少なからぬ危険と有効性の乏しい医療への過大な出費とを公認することにつながる。
混合診療解禁後に憂慮すべき事態の一つに医療の平等性の崩壊がある。
・同室で隣同士で同病に苦しむ2人の患者が、経済力の差で医療の質を峻別されることになり、医療倫理的にも人間性としても許されない。
・殆どは、今後改定される「特定療養費制度」で十分に対応できる。

字数の関係で次回へ続く。

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