混合診療について考えよう!(中編)

前回からの続きです。

2. 混合診療について考える際の3つの大局的な視点
  東京大学 先端科学技術研究センター 近藤 正晃 氏

・フランスでは社会保障の当事者拠出の原則により、1946年に給付費を返済する返還制度が導入されている。
 (ただし、行政規則により定められた上限額を超える部分に対して行われる。)
・資力がある人が給付を受けた場合は社会に返還すべきである。
社会保障給付により、財産が残った場合は、個人が相続するよりもまず社会が相続すべきである、という原則。
・予測可能性が小さい伝染病については公助や税にて、予測可能性が中程度の急性疾患については共助にて、予測可能性が大きな生活習慣病(慢性病)については自助・私的保険にて対応する。
・今後拡大する費用に対して保険・税金で賄う国民的な合意がないのであれば、重点領域(入院日数を削減する治療法、新たな治療法、付加的サービス、技術のある医師、費用対効果が低いがQOLは高い治療法)を混合診療で負担することも検討すべきである。
・高齢者を中心とした医療の受け手が必ずしも「真の弱者」ではないため、負担を負えない「真の弱者」へ焦点を絞った救済措置を導入することで、成長と平等を両立できる。
・自助努力が医療費に大きな影響を与える慢性疾患が中心となっているため、自助努力を促すインセンティブを導入することが保険の考え方として適切である。
・私的保険・自助の要素を強化する打ち手の一つが混合診療の導入である。

字数の関係で次回へ続く。

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