いわゆる在総診について(後編)

前回からの続きです。

まずは、5についてであるが、往診料650点や在宅患者訪問診療料830点では、同じ家の患者を2人以上診察した場合は、1人しか算定することができない。
しかし、在総診では同じ家の患者を、同時に何人でも算定することができる。
感の良い人はお分かりであろうか?
グループホーム、有料老人ホームなど、そこに入居している利用者全員に算定できるということである。
入居者にしてみれば、毎月低額で検査もでき、薬も出るということで良いのかもしれない。
しかし、保険点数に見合うだけの検査、管理は行われているのであろうか?
過剰な点数の包括は、医療費の乱高を招くのみである。
6、7については、なお問題である。
本来の主旨は、緊急時に24時間、365日対応でき、入院もできるよう、周辺の医療機関と連携をしましょうということ。
非常に理想的であるが、現実を見ると、時間外はすべて連携医療機関で対応してください!というお粗末な診療所が多いのも事実である。
不思議なことに、ベッドを持つ連携医療機関には、連携をする上でのメリットは全くない。
すべての加算点数は、在総診を算定している診療所に入るわけである。
連携医療機関と契約を交わすだけで、月々1,500点の加算が入るわけで、先ほどの計算式に合算すると、
2,290点+830点+830点+100点+1,500点=5,450点
患者1人に2回の診療で、月に55,000円の診療報酬となるである。
なるほど、診療報酬の改定の度に、在総診の廃止に反対するわけである。

かつて、病院にも同様な点数があった。(200床以下の病院、診療所に限る)
平成14年10月の診療報酬改定の際に廃止された、外総診(老人慢性疾患外来総合診療料775点、1ヶ月2回まで算定)である。
検査、投薬等が包括されていた診療報酬である。
外総診が廃止された影響はかなりなもので、当時の日医の第2次レセプト調査の最終結果では、外総診算定診療所では1日当たり点数が2割減、200床未満の病院の外来ではレセプト1件あたり3.95%の減収となった。
それほど、旨みのある包括点数であったのである。
平成18年の次期改定では、残る在総診にも必ずメスが入ると考えられる。
在宅医療に「まじめに」取り組んでいる医療機関にのみ、しっかりとした診療報酬を与えていかなければ、真の在宅医療は促進されない。
在総診に頼りすぎている診療所は、そろそろ方針を見直す時期にさしかかっている。

尾崎総合企画
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