壮大な実験 介護保険制度(前編)

平成18年4月の介護保険制度改定に向けて大枠が固まってきた。
内容については、様々な意見があると思うが、この介護保険というシステム自体はなかなか面白い。
平成12年に、新しい保険として誕生した介護保険であるが、これからの保険制度に対する様々な実験的な試みがなされている。
今回は、その試みについて検討してみたい。

1.分野を分けた新保険の誕生
 これまで医療保険1本だった制度を、「介護」という分野を独立させて新しい保険制度、すなわち収入源を得た。
 今後も、特殊分野を独立させた新制度、新財源を生み出す可能性がある。

2.民間参入による急速なサービス普及
 非営利の医療と違い、営利を認めることで民間を参入させ、急速にサービスを普及させた。
 それに伴い、雇用の創出、管理の徹底による質の向上(一部、質の悪い民間が問題にはなったが)、競争による価格低下、介護保険制度に頼らない新しいサービスの登場など、多くのメリットが生まれた。

3.3年毎の制度見直し
 医療保険は2年毎の制度見直しである。
 制度変更への対応を1年ほどかけて行うと、すぐに次の改定が待っているという、経営の方向性が定めにくい欠点があった。
 介護保険は3年毎の見直しのため、落ち着いた方針決定が可能となる。

4.制度改定の1年前に新制度を開示
 医療保険の制度変更の開示は、施行の約1ヶ月前。
 どの医療機関も、制度対応についていくことができず、改定後の数ヶ月はパニックとなる。
 介護保険は1年前の新制度開示のため、1年間の準備期間を得て、対応していくことができる。

字数の関係で次回へ続く。

尾崎総合企画
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