検査システムを見直そう!(前編)

各地の医療機関で、電子カルテの導入が進んでいる。
電子カルテとは、診療録システム、オーダリングシステム(検査、薬剤)、レセプトシステム、検査システムなどの様々なシステムを一体化したシステムである。
現在は、そのうちのいくつかのシステムが独立せずに包括されたシステムも登場している。
今回は、この中の検査システムについて話をしてみる。
ここでいう検査システムというのは、各端末から検査値を閲覧したり、検査値をグラフ化したりすることができるシステムのことである。
一般的に、オーダリングシステムでオーダーされた検査において、検査値が自動的に検査機器からサーバーに送られ、そのデータを患者IDで検索して閲覧することができる。
どの端末からでも、検査終了後すぐに結果を閲覧することができ、またグラフ化することにより、患者説明も視覚的でわかりやすい。
ただ、電子システム化されることにより、操作側が検査値を「見に行かなければ」、異常が見落とされることも少なくない。
こういう点では、従来の紙ベースによる方法は、必ず人の手によってカルテに貼られるため、異常値に気がつきやすいという利点がある。
検査システムでは、あらかじめ予想される、疾患による検査値の異常については十分にチェックがなされるが、予期しない検査値の異常については見逃しやすいということが欠点である。
現在、薬剤の副作用報告が厳密になってきている。
多くの薬剤で、肝障害や腎障害の危険性が指摘され、定期的な検査を行うことが推奨されている。
また、癌の発生などによる検査値の異常、心疾患発症による検査値の異常など、見落とすことにより訴訟となるケースも増えてきている。
このような予期しない検査値の異常については、電子検査システムが「見張り番」として活躍することが理想である。

字数の関係で次回へ続く。

尾崎総合企画
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