人員配置について考える(後編)

前回からの続きです。
 
介護施設においては、ユニット管理が推進されている。
これはもともと、大人数より少人数管理した方が痴呆の進行速度が遅いというデータからきているものである。
1ユニット9名が基本であるため、人員配置もユニットに沿って行われる。
小人数のユニットを、決まったメンバーで管理することにより、利用者の状態把握が良く出来るし、利用者の不安もなくなり、痴呆(認知症)の進行度合いもゆっくりになれば言うことはない。
しかし、ユニット管理にも良い面と悪い面がある。
良い面は先ほど述べたとおりだが、悪い面ではスタッフの数の増加による人件費の上昇が考えられる。
利用者の不安をなくすには、スタッフはユニット毎の固定メンバーが理想である。
とすれば、9人の施設をいくつもつくることと同様となり、必要人員は必然的に増加する。
例えば54人の入所施設があるとする。
利用者2名に対しスタッフ1人の体制でケアを行い、夜勤は3名体制をとるとすると、
スタッフは27名となり、27名×21日=567名、3名×30×2名=180名、567名−180名=387名、387名÷30日=12.9名
日勤帯12.9名、夜勤帯3名の勤務体制となる。
54名を6ユニットとした場合、各ユニットに夜勤1名、日勤2名を配置したとすると、
6ユニット×1名×30日×2=360名、12名×30日=360名、360名+360名=720名、720名÷21日=34.3名
スタッフは35名必要となり、ユニット管理を行うことにより、全体管理より8名も多くの人員が必要となる。
年収300万円としても、300万円×8名=2,400万円の人件費増となる。
必要人員が増加すれば、無理を承知で給与を払うか、ワークシェアリングの理論通り、給与が下がるかの二者択一となってしまう。
給与が低下すれば、それに伴いスタッフの士気も低下する。
 
安全で質の高いサービスを提供しようとすれば、スタッフ数は余裕がある方がよい。
しかし、マイナス改定の続く医療・介護界では、経営側としては人件費はできるだけ抑えたい。
このような葛藤が、今後、どの施設でも続いていくことが予想される。
現場スタッフも経営側も頭が痛い・・・。
 
尾崎総合企画
http://www.medisoft.jpn.ch