電子カルテにクラークは必要か?(後編)

前回からの続きです。
 
さて、電子カルテの導入により人件費が削減できたかというと、実際のところほとんど変わりはない。
むしろ、メンテナンスによる費用増大で、医療機関の経費というのは増加しているといってよい。
そんな中、さらにクラークの人件費が増えるとなると、いったい何のための電子カルテなのか、本末転倒である。
クラークの業務は、言ってみれば医師の業務の一部を行うものである。
従って、クラークを要望する医師の給料から、クラークの人件費を捻出するのが本来の姿でなければならない。
情報の電子化には、多大な事務作業が発生する。
電子カルテを導入する際、簡単に「過去10年分のカルテは電子化してほしい!」いう導入委員がいるが、そのカルテを書いてきた時間だけ、電子化する時間が必要であるということを理解する必要がある。
ましてや、PDF化するとなると、生半可な作業ではない。
現在の医療では、日々、膨大な記録が発生している。
看護師、薬剤師、管理栄養士、ソーシャルワーカーなどの記録は生半可な量ではない。
これまで甘かった、医師のカルテへの記載方法が、電子カルテの導入により正常化されるのである。
記録に必要な時間が増加することはいうまでもない。
しかし、だからといって、安易にクラークを雇用して問題解決というのは、病院経営にとって非常にマイナスである。
医師が個人的に、クラークを雇うことが今後は起こってくるかもしれない。
業務効率を上げるために導入した電子カルテが、逆に業務効率を下げるものであるならば、それはシステム自体に問題がある。
電子カルテの導入の際には、その点も考慮して検討しなければならない。
本来、メディカルクラークは、厚生労働省認定の公的資格である。
毎日が同時通訳的なキーボード入力では、資格の名が泣きますよ。
 
尾崎総合企画
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