付き添いについて考える(前編)

保険医療機関及び保健医療養担当規則
第十一条の二 保険医療機関は、その入院患者に対して、患者の負担により、当該保険医療機関の従業者以外の者による看護を受けさせてはならない。
 
皆様は、療養担当規則のこの条文をご存知であろうか。
病院でも、「原則として付き添いは認められません。」という文言が掲示されていることと思う。
しかし、この「原則として」というのが問題であり、実際は「患者さまの病状、その他特別な事情で、ご家族の希望があり医師が付き添いを認めた場合に限り、ご家族の付き添いを認めています。」という文言が後に続くことが多い。
皆様の病棟を見ていただければ分かりますが、付き添いのいない病棟はほとんどないのではなかろうか?
付き添いは、家族の希望というより、病院側からの半強制であることが多い。
「付き添いができないのであれば、入院はお断りします」というように・・・。
違法ではないか?と思うかもしれないが、これは「患者の負担により」という言葉を逆手に取って、「患者の負担がなければ」、すなわち家族であれば良いと解釈している病院が多いからである。
実は付き添い看護の問題は、約10年前の1990年代前半に問題視された過程がある。
当時、看護体制の不十分な病院に、寝たきり等の高齢者が入院した際、家族が家政婦などを雇って世話をしてもらうケースが多かった。
そのため、国会で「患者側の負担が重い」「看護体制の改善が必要だ」との意見が噴出し、大問題となったのである。
これを受けて旧厚生省は、1994年に関連法を改正し、有償の付き添いを廃止し、その後、診療報酬の改定の度に看護体制の見直しを徐々に実施してきた。
ちなみに、平成18年の3月からは、一般病床では患者3人に対し、看護職員1人の看護体制が最低基準となる。
1人の看護職員で3人の患者を見ることができる体制であれば、付き添いは必要ないのではないか?
それなのに、現実問題として付き添いはあり続けるのであろうか?
 
字数の関係で次回へ続く。
 
尾崎総合企画
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