持参薬問題について(前編)

平成17年1月31日、日本病院薬剤師会は全国の会員に対し、入院時の持参薬管理について緊急の通達を出した。
発端は、学会にて「患者の84%が入院時に薬を持参している」と報告されたことに始まる。
問題は、その管理方法であった。
違う用法の薬を同じ薬袋に入れていたり、用法・用量が分からなかったり、というケースが半数以上に及んでいたということだ。
このような現状を見て、日本病院薬剤師会は会員に持参薬に関与するように徹底したのである。
(ちなみに平成15年9月1日に日本病院薬剤師会が出した「病院薬剤師のための業務チェックリスト」の3.4には、すでに患者持参薬の管理について記載がある。)
服薬指導が徹底されている病院では「何をいまさら?」という感じであろうが、現実に大病院になればなるほどベッドの回転率は高く、入院患者全員に関与するのは不可能に近い。
持参薬が増えている背景にはいくつかの要因がある。
 
1.患者が複数の医療機関を受診する傾向がある。
2.長期処方が解禁となり、家庭で管理する薬剤の量が増えている。
3.平均在院日数の短縮に伴う早期退院により、再入院となるケースが多い。
4.急性期病院から、亜急性期病院や療養型病院へ転院する際に、薬剤が処方される。
(DPCを実施している病院では薬剤費を抑えるが、実施していない病院では長期処方を出してから転院させるケースも見られる)
 
医療費削減のために始まった長期処方の解禁であったが、思わぬ所に弊害が生じた形であろう。
 
字数の関係で次回へ続く。
 
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