介護報酬の不正請求(前編)

介護保険の不正請求が後を絶たない。
2003年度には56億2000万円もの不正請求額があり、これは2002年度の2.5倍にあたる。
2004年度の不正請求額は、どうやら56億をさらに超えそうである。
なぜ、こんなにも不正請求が増え続けているのか?
大きな原因は、「介護は儲かる!」との思いで、多くの異業種が参入したことにあると思われる。
また、「よりよい介護を!」との思いで、経営に素人な人々が起業したことにも原因があるだろう。
ニチイ学館コムスンなど、大手の介護事業者が良い決算を出しているが、実は介護というのはそれほど儲かるものではない。
理由は簡単。
医療と違い、非常にシンプルなシステムであり、介護報酬も決まっている。
従って、同一条件ならば誰がやっても同じなのである。
それぞれの事業所の少ない利益を集めることにより、大手事業所の高い利益が計上されるのである。
1ヶ所や2ヶ所の事業所では、あまり大きな利益は期待できない。
利益を左右するのは、初期投資額と人件費、そして経営陣の報酬である。
利益を出すために人件費を抑えれば、人員基準に必要な人数を集められなくなる。
経営陣の十分な報酬を確保しようとすれば、経費を抑えるか売上を上げるしかない。
しかし、同一規模の事業所ではおのずと売上の上限は決定してしまう。
収入を上げるには・・・
経営を維持するためには・・・
少し手を加えるだけで収入が上がる・・・
こういった悪魔の囁きにより、魔がさしてしまうこともあるのだろう。
気がつけば、年間に56億円もの不正請求額が発生してしまうのである。
もちろん、これは氷山の一角であろう。
 
字数の関係で次回へ続く。
 
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