介護報酬の不正請求(後編)

前回からの続きです。
 
先日、テレビで不正請求を行い指定取消しになった事業所のもと経営者を追跡していたが、本人の話では「なぜ、不正請求をしてしまったのかわからない」とのこと。
介護保険制度開始後、雨後の筍のように介護事業所は増え続けている。
監査機関である都道府県も、目が届くのは一部である。
1割の自己負担分を請求しなければ、誰もわからない・・・
そんな介護保険制度のひずみから起きているのかもしれない。
介護保険制度は設立当初から資金が不足していることがわかっている。
今後は、介護報酬の引き下げ、介護保険料の増額、税金の増額がなければ、維持していくこと自体が難しい制度である。
介護保険制度は、民間の活力を導入したことで急速に立ち上がった。
しかし、民間である以上、十分な利益を確保しなければ経営を維持することはできない。
不正請求は一度行うと癖になり、すべての帳簿や記録がおかしくなってくる。
都道府県の指導監査の前に、すべての記録を書き直した事業所もあった。
こんなことで、スタッフがついてくるわけもなく、よりよい介護ができるわけもない。
介護保険事業というのは、お年寄りの生活を支える事業である。
使命を感じて、誠実に介護、経営を行っていかなければならない。
2005年度は、不正請求のニュースを耳にすることがないことを願うばかりである。
 
尾崎総合企画
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