看護クラーク配置のすすめ(後編)

前回からの続きです。
 
看護クラークとは何なのか?
日本語で言ってしまうと、医療秘書ならぬ看護秘書である。
書類や雑務に関する業務を専門に行うのである。
だが、その前に現在の業務を整理することから始めなければならない。
医師、看護師、ヘルパーの仕事、そして看護クラークの仕事。
このラインを明確にする必要がある。
入院時、退院時の書類の管理、電話応対、FAX、勤務表の管理、有給・欠勤申請、出張申請、パソコンへの入力作業などなど。
看護職員が常日頃から「雑務」といっている業務を看護クラークに委託してしまうのだ。
すると、これまでヘルパーに依存していた、食事介助や排泄介助など、「本来の看護業務」への時間が取れるようになる。
看護クラーク1人を入れることにより、1人1時間分でも生まれると、1日の勤務者を10人とすると。1日10時間の時間が生まれることになる。
1ヶ月では約300時間であり、これは看護職員約2人分の時間に相当する。
1人の看護クラークの人件費で、看護職員2人を採用したのと同じ労働力を得ることができるのである。
もう一つ、このコラムで言い続けていることであるが、朝夕の申し送りは廃止する方向が望ましい。
申し送りには歴史があり、多くの看護職員がこの「慣例」廃止に抵抗するが、実際にやめてみると特に問題ないものである。
手前味噌で申し訳ないが、弊社のソフトウェアに「看護申し送り管理ソフト」というものがある。
申し送りの廃止という提案型のソフトウェアなのであるが、これが結構評判で、このソフトウェアを機に申し送りを廃止し、多くの労働時間を確保できた医療機関がいくつもある。
ただ、導入で問題となるのが、「パソコン入力の時間がない!」という意見が多いということ。
実際にはブラインドタッチをマスターしようという気がないだけなのであるが、この入力を看護クラークにお願いするのもよい。
各看護職員は、申し送り事項に変化があった時のみ、メモ記載し看護クラークに渡す。
看護クラークは、常にパソコンの内容を更新し、最新のデータを看護師に返すことができるのである。
申し送りにかかる時間は看護職1人つき朝夕で約1時間。
1日の労働時間の1/8は申し送りに費やしているのである。
先ほどの雑務解消と、申し送り廃止により、看護クラーク1人の人件費で、看護職員約4人分の時間を確保することができる。
「看護本来の仕事」ができるのでは?
 
尾崎総合企画
http://www.medisoft.jpn.ch