療養型の行く末は?

今後の介護保険の改定の目玉となってくる問題として、療養型病床の取り扱いがある。
もともと、老人病院=療養型=介護型という図式で進んでいたのであるが、介護保険の財源不足により、医療型と介護型の2種類の療養型が存在するという不思議な制度になっている。
医療型は医療保険、介護型は介護保険での運用。
将来的には、両方の療養型を統一し、介護保険で運用していくことになっている。
さて、療養型が介護保険へ完全移行すると、医療の実施はかなり制限されてくることになる。
現在の医療の療養型は包括料金+一定の出来高が認められている。
介護保険へ移行してしまうと、完全包括料金となるため、現在、医療養型の病棟では大幅に売り上げが下がってしまうことになる。
どうやら医療←→介護が転換できる今のうちに、介護型から医療型に転換し、収入を増加させようとしている療養型も出てきているようだ。
しかし、ここで一つ間違ってはいけないことがある。
療養型の包括点数には医療の金額も含まれているのである。
療養型であるので、医療はなるだけ抑えましょうというのは施設側の言い分であって、患者にとっては医療を受ける権利があるのである。
包括=経費節約=医療を実施しない、という考え方は間違っている。
さて、医療法の改正により、療養型の病棟環境は飛躍的によくなってきた。
部屋面積は広くなり、廊下も両側居室の場合2.7mと驚異的な広さである。
談話室や機能訓練室の設置も必要だ。
こうなってくると、既に療養環境というよりは住居に近くなってくる。
新型特養こと介護老人福祉施設も、個室を中心としたユニット管理に変化してきている。
将来的には個室型の介護老人福祉施設の比率を大幅に上げていくそうである。
療養型による介護と、施設による介護の違いはいったい何なんだろうか?
両者の合い中にある介護老人保険施設を加えて、もしかすると、介護保険の枠の中で3者は同じものになっていくのかもしれない。
すべては、巨大な介護付高齢者住居施設と化していくのであろうか?
次回の改正で盛り込まれるのかどうかは不明であるが、療養型の行く末はしっかりと考えておかなければならない。
 
尾崎総合企画
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