慢性期入院医療の現状

平成17年3月31日に、中央社会保険医療協議会中医協)の診療報酬調査専門組織・慢性期入院医療の包括調査分科会が報告した「慢性期入院医療の包括評価に関する調査」の中間集計結果をご覧になっただろうか?
53病院、94病棟、3,898人の患者の調査であったのだが、この調査は、慢性期入院医療の将来像を把握し、包括評価を論議する上での基礎資料となるものである。
その中に、医師による直接医療提供頻度という項目があるが、この結果には目が点になった。
週1回程度の医師の医療提供が、医療の療養型病床で38.9%、介護の療養型病床で42.4%、特殊疾患療養型で45.3%、一般病棟II群3で23.5%もあるというのだ。
療養型はまだしも、完全なる医療である一般病棟II群3では、週2〜3回程度の医師の医療提供が32.2%であり、合計して55.7%の患者が、週に2、3日以下しか医師と接していないということなのだ。
平成12年4月までは、施設基準である入院基本料は、医師の入院医療管理料と看護の看護料に分かれていたのである。
医師が医療を提供してこその入院基本料なのである。
療養型もしかりである。
こちらも医師を配置した上での、入院基本料、療養型介護療養施設サービス費なのである。
週1回しか、患者と関わっていないなくて何が療養型施設なのであろうか!
医療療養型施設の患者カルテを見ると、医師の記載が非常に少ないことがわかる。
保健所も社会保険事務局も、この点を厳しく追及すべきである。
医療費や介護費の返還を求められても仕方がないのである。
他の施設基準や介護費では、記録がなければ費用の返還が命ぜられる。
何故、医師の診療録には、指導が甘いのであろうか?
もう一つ、療養型は包括点数であるため、診療内容が薄くなってしまっている施設も多々ある。
過剰医療を減らすために包括性を導入したのであるが、包括性だからといって経費を減らして利益を出すというのでは施設の存在価値はない。
転倒率、感染率、褥創発生率、急性期病院への転院率、経費消化率など、一定の基準を設ける必要があるのではなかろうか?
今後、医療の療養型病床は介護保険型に移行しようとしている。
医師の診察もなく、看護職員も食事介助と入浴介助とオムツ交換に追われる毎日では、介護保険型に移行されても致し方がないとも言える。
療養型は、病棟なのか?、家なのか?
そして、一般病棟II群3の行き先は?
この調査が、現状を明らかにしたとき、自ずと将来像が見えてくるように思う。
 
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