業務独占と名称独占

医療や介護の世界で働くスタッフは、ほとんどが何らかの資格を持っている。
これらの資格は、実は業務独占と名称独占というものに大きく分かれている。
例えば、人の命に関わる医療の場合、医療行為というのは基本的に禁止行為となっている。
専門的な教育、訓練を受けて、その禁止行為を行うことを許されたのが「免許」なのである。
車の運転もそうである。
基本的には禁止行為であり、訓練を受けて免許を取得して、初めて運転行為が許されるのである。
このように、禁止行為が可能となる免許が必要な資格のことを業務独占という。
 
○業務独占
資格がなければその業務が行えない。資格がない状態でその業務を行うと刑罰の対象となる。
医師、看護師、准看護師、薬剤師、診療放射線技師など、多くの医療資格が当てはまる。
○名称独占
資格がなくてもその業務が行える。しかし、資格がなければその名称を名乗れない。
理学療法士作業療法士、調理師、介護福祉士社会福祉士などが該当する。
 
名称独占業務は、資格がなくても業務が行えるため、当然ながら業務独占より給与面等で待遇が悪くなってしまう。
しかし、医療の施設基準や介護の人員基準などで、名称独占の資格者数が規定されている場合は待遇はよくなる。
給与の決定基準は、その職務につく人員を確保しやすいかどうかによって左右される。
資格のランクという面から考えると、業務独占と名称独占は矛盾してくる。
例えば、社会福祉士介護福祉士は国家資格であるのだが、准看護師都道府県資格である。
だが、給与面での待遇を診てみると、准看護師の方が上であることが多い。
国家資格である以上、それなりの医療報酬、介護報酬をつけるべきだと筆者は思うのだが。
また、准看護師というのは看護師の業務補助をするのが本来の仕事であるのだから、准看護師のみの診療所では、看護を行うこと自体に問題がある。
この問題が今までに取り上げられたことがないというのは不思議である。
(病院の入院基本料では、看護師と准看護師の比率が規定されている)
まとまりがなくなってしまったが、資格というのはなかなか複雑である。
手に職をつけろとはいうが、やはり国家資格かつ業務独占の資格を取得した方が、給与面などの待遇、転職等に有利であることはいうまでもない。
それにしても、最近の介護系専門学校は、夢を与えすぎていると思うのだが・・・。
 
尾崎総合企画
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