高額医療費貸付制度について

前回、高額療養費制度についてお話しましたので、続けて高額医療費貸付制度についてもお話します。
高額療養費制度で自己負担限度額以上のお金が償還払いされるといっても、やはり一時期にまとまった金額を払うのは大変なことです。
ましてや、大きな手術(手術材料が高い手術)や、薬価が高い薬(抗癌剤等)を使用した場合、月の医療費が数百万円になってしまうことがあります。
こうなると、一時金を支払うこと自体が家計を圧迫してしまうことになりかねません。
そこで、高額医療費貸付制度という制度があるわけです。
これは、適切な療養の確保と家計負担の軽減を図ることを目的として昭和60年4月からスタートした制度です。(全社連パンフレットより)
当座の医療費の支払いにあてる資金として、高額療養費支給見込額の8割相当額を無利子で貸付してくれるという、ありがたい制度なのです。
前回の例で見てみますと(医療費100万円)、支給見込額は220,110円となります。
従って、220,110円×0.8=176,000円が高額医療費貸付額となるのです。
すなわち、実質的な自己負担額は、79,890円+(220,110円−176,000円)=124,000円ということになります。
約3ヵ月後に高額療養費の2割相当額44,110円が返還され、最終的に自己負担限度額の支払いと同じことになります。
今回、高額療養費制度や高額医療費貸付制度を改めて紹介させていただきましたが、実はこの制度が一般にはあまり知られていないのです。
医療機関においても、相談がない限り制度をお知らせすることは少ないのが現状です。
入院中の相談役である看護師、会計時の医療事務員、そして何よりもソーシャルワーカーをはじめとする相談員が、積極的に制度を紹介する必要があるのではないかと思います。
(ちなみに年間10万円以上の自己負担金額が生じた場合は、確定申告で医療費控除もできます。)
このような社会資源を活用して、安心して医療を受けられる体制を皆でつくっていきましょう。
 
尾崎総合企画
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