薬剤の一包化について(後編)

前回からの続きです。
 
しかしながら、病院においては、配薬を行う看護スタッフの業務を軽減するために行われていることが多々ある。
一昔前は(今もあるかも)、錠剤の入ったPTPシートを1錠ずつハサミで切り離し、服用時間毎にホッチキスで止めて、管理しているところが多かった。
涙ぐましい努力であるが、最近では病院薬局にて一包化した上で管理することが多い。
氏名や日付が分包紙に印字され、管理をする上では便利になった。
しかし、看護スタッフの業務を薬剤師の業務に移行させただけであり、病院という組織としては業務効率は全く上がっていない。
看護スタッフの業務を楽にするために、一包化という作業があるわけではない。
そもそも、一包化しなければ管理できないほど、服用する薬剤数が多すぎるという問題が根底にある。
薬剤というのは、本来、自然界に存在しない物質であるため、可能な限り少ない種類が望ましい。
「薬」という言葉が良いもののようにイメージされているが、実際には毒を持って毒を制しているのであり、多剤服用は望ましくない。
最近、大病院(急性期病院)の平均在院日数が短縮され、短期間で次の病院に転院するパターンが増えている。
この際、膨大な量の薬剤(薬剤数、処方日数ともに)を処方し、転院先の病院に持ち込むことが多々ある。
(転院先の病院では中期〜長期的な期間の入院を行うことになる。)
転院先の病院では、この膨大な量の薬剤を管理するため、薬剤を整理し、一包化して管理することになる。
この持込薬剤の場合、転院先の病院では、薬剤料も、調剤料も、一包化料も取ることができず、いわゆる「ただ働き」となる。
一包化するほど数のある薬剤が、その患者にとって本当に必要なのかどうかを医師、薬剤師は考える必要がある。
不必要な薬剤処方は、医療費の増加の一因でもある。
誰のための、何のための薬剤処方、そして一包化なのか?
その意味を考え直す必要があるのではなかろうか?
 
尾崎総合企画
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