ターミナルケアと介護

癌治療の技術は日々、進んでいるが、撲滅の道はまだまだ遠い。
不幸にも若くして、癌と戦わなければならない人も多い。
癌治療には、外科治療、薬物治療、放射線治療などがあるが、末期癌(ターミナル)になれば病院での生活を余儀なくされてしまう。
癌との闘いに勝つことができない場合、残りの人生を家族と自宅で一緒に暮らしたいと思う。
しかし、現実問題として、自宅で生活をするには家族の助けだけでは間に合わないことも多い。
理想と現実のギャップについていけずに、家族がダウンしてしまうこともある。
これは、ターミナルケアに限らず、介護全般における問題であろう。
家族の負担を減らし、自宅での生活を可能とするため、厚生労働省では40〜64歳の末期癌患者を介護保険の給付対象に加えることを検討している。
介護保険の本来の目的は、介護が必要なすべての人に適切な介護を提供することである。
介護保険の間口が広がることは喜ばしいことであると思う。
しかし、今回の検討であるが、少し難しい問題を抱えている。
介護保険を利用するには、患者本人が余命期間を含めた病状の告知を受けている」ことを前提とするという案なのだ。
現在の癌治療の流れをみてみても、病名告知については必要だと思う。
ましてや、介護保険の利用ということになれば、本人への告知は不可欠であろう。
問題は、余命期間の告知である。
残りの人生を有意義に使うためには余命期間を知っておいた方がよいのかもしれないが、心情に十分な配慮をしなければ逆効果となってしまうこともある。
また、余命期間の告知については、そのアバウト性からも賛否両論である。
・3ヶ月と言われていたのに1年が過ぎた。
・半年といわれていたのに、3ヶ月も生きられなかった。
など、本人、家族から苦情がくる場合も少なくない。
命の長さは神のみぞ知るのであって、医師が告知するのは一般論、経験論でしかない。
この問題については十分な議論がなされることを願っている。
とにもかくにも、介護保険の間口が広がることは歓迎である。
介護保険の利用により、本人にとっても、家族にとっても、自宅で過ごす時間が少しでもより良いものとなってもらいたい。
 
尾崎総合企画
http://www.medisoft.jpn.ch