入居一時金について(後編)

前回からの続きです。
 
5年での償却ということは、入居して5年経過したら入居金は1円も帰ってこないことを意味します。
それも、5等分の償却ではなく、初年度(入居時)、二年度に償却比率が大きな償却方法です。
従って、実質3年も入居すれば、入居金はほとんど償却されてしまっています。
これが何を意味するかというと、入居した施設が気にいらなかった場合、すぐに退所しても数百万円は施設のものになっている(償却されている)ということです。
施設は違いますが、介護老人福祉施設の平均入所期間は約4年前後というデータがあります。
(平成12年3月 第5回全国老人ホーム基礎調査報告書より)
すなわち、5年の償却期間の間に、入居者が入れ替わる可能性が大きいということでもあります。
言葉は悪いですが、入居後2、3年で入居金の大半を償却しておくことが、施設側にとっては非常にメリットが高いのです。
入居金を預ける高齢者にとっては、このお金で生涯のお世話をお願いしますね。という想いがあります。
本来、施設そのものの償却に利用されるべき、入居金を運営費に回している施設もあります。
これでは、入居が「短い」入居者が好まれるということになりかねません。
健康で長生きするための施設ではなくなってきますね。
現在、ルールがあいまいな有料老人ホームについて規制をかけようと準備が進んでいます。
良い環境で、安心して長生きできる施設ばかりになるといいですね。
 
尾崎総合企画
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